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Steve Rodenは,アメリカ・ロサンゼルスを基盤に活動している,電子音楽家,ビジュアルアーチスト。 日本の電子音楽ファンの間では「物音系」と括られることがあるようで,大概の作品は何か一つの素材から様々な音響を引き出し,それをミニマルな素材(しかも音量小さめ)にして構成する作風です。 "The Radio"
元々はサンフランシスコでの"The 1996 Soundculture Festival"のため制作され,1999年にリリースされたCDは,これ1曲のみ収録。 まず聞こえてくるのは,ノイズ混じりのコーラスの短いフレーズの繰り返し。 そして,コーラスの音は7分目あたりで消え,次に聞こえてくるのが,女声ソロの歌。 14分目からは,ラジオの音らしき,男性の声のごく短い断片の繰り返し。背景には「キッ,キッ」と何か軋むような音,「シュー,シュー」と繰り返す電子音。 解説によると,音源は大きく分けて2種類あります。 一つはラジオの受信音で,ノイズ混じりのコーラス5秒間,1994年に日本で(!)カセット録音した短波のノイズ5秒間,ランダムに音量を上げ下げしたトーク8秒間,ランダムに音量を上げ下げしたノイズ8秒間。 もう一つ,これが本作のユニークなところですが,「祖父の古い東芝のトランジスタラジオ」から作った生音があります。 そして,これまた意外や意外なのですが,本作唯一のラジオ以外の音,中盤に聞こえている女性としか思えない清澄なボーカルは,なんとご本人の声なのだそうで。(@o@;)ェェェ ラジオを中心に据えた,これほど多くのアイデアを投入しながらも,ラジオの騒々しい面を微塵も感じさせず,全体に抑えた静謐なトーンでまとめたところに,作者の冴えたセンスを感じます。 ただ,なぜここで「ラジオ」だったのかは,情報がないのでわかりません。 "Transmissions (Voices of objects and skies)"
米カリフォルニア州中部の都市,フレズノのメトロポリタン・ミュージアムでの,音・絵画・ドローイング・彫刻で構成された同名のインスタレーション用に制作された音源です。 音素材は,1960〜80年代にアマチュア天文学者が録音した衛星の信号音です。 音は,ほんわかした笛のような音色の,緩いテンポのごく短いメロディーが繰り返されています。 カオスっぽくなる瞬間もありますが,全体の印象は牧歌的。 [参考サイト]
(2013/02/05)
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