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1. She Blinded Me With Science / 2. Radio Silence / 3. Airwaves / 4. Flying North / 5. Weightless / 6. Europa and the Pirate Twins / 7. Windpower / 8. Commercial Breakup / 9. One Of Our Submarine / 10. Cloudburst at Shingle Street
彼もOMD(別項参照)同様,80年代前半にソロデビューし,シンセを前面に押し出したサウンドの本作のおかげで,"electronic pop"を代表する人物として認識されています。大ヒット"She Blinded Me With Science"(邦題「彼女はサイエンス」)でご存じの人は多いでしょう。 アマチュア無線をやっていたことがあるというDolbyさんは,最初のアルバムに"The Golden Age Of Wireless"というタイトルをつけ,アルバムからのシングルヒットも"Radio Silence", "Airwaves"と題されていて,思い入れの深さを感じさせます。 音は,ラジオのノイズっぽい音を多用してはいますが,芸風はテクノ,エレクトロニカっぽい感じはしません。ソロデビュー以前にも,多数のセッションをこなしていた人だけあって,手堅くできたポップスになっています。(ここで紹介している他の作品にありがちなマニアックさ^^;はなく、手頃な国内盤もあるのでおすすめの一枚ではあります。) この作品のラジオっぽさは,つけられたタイトルはもちろん,歌詞への電波やラジオの織り込み方にもミソがあると思えます。(それゆえ,歌詞はかなり凝っていて,なかなかイメージをつかみにくいのではありますが。) "Airwaves"は,ラジオが傍らにある心象風景を,イマジネーションたっぷりの詞と,ややセンチな曲風で聴かせる傑作です。 ちなみに,現行版では割愛されている1曲,"Wreck Of The Fairchild"には,ジェット機の騒音のような金属音をともなった無線の交信風の音が使われています。その声がまたなぜか,スペイン語かイタリア語のようなのです。よく聞くと,ごく小さく低い声で,それらしい言語のコーラスも入っています。 本作の発表当時,MTVで流れていたビデオにも,無線機風の機械のセットがずいぶん見られました。 Dolbyさんのラジオを題材にした作品は,残念ながらこの1作だけで,2ndアルバム"The Flat Earth"(1984,邦題「地平球」)以後は,エレポップというよりも,ファンク色も入った職人気質の音楽といった感じの芸風になっています。 Dolbyさんや,Czukayさん(別項参照)などラジオに関心を持つミュージシャンは,音楽的特徴だけでなく,録音などのハード面にも強い傾向があって,他のミュージシャンのプロデュースでもプラスになっている点があるように思えるのですが,どうでしょうか? Dolbyさんのプロデュース作としては,Prefab Spraut "Steve McQueen"(1985)あたりが個人的好みです。そのPrefab Sprautのリーダー,Paddy McAloonの作品にも深くラジオに絡んだ作品があります(別項参照)。そこに心理深層のつながりを感じるとか,それは考えすぎだとか(^^;),ともかく興味深いところです。 (改訂:2005/07/23)
[参考サイト・文献]
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