片手にラヂヲ♪ ホーム「楽器」としてのラジオ?!短波ラジオで「音響派」12

作成日:2006/05/15
最終更新日:2010/03/21

「楽器」としてのラジオ?!

無意味企画

短波ラジオ「音響派」^^; 2

短波ラジオでつくるヘンテコ音楽入門


「音楽」をどう組み立てるか

さて,そんな短波ラジオの音をネタに「音楽」を作るのですが,この音素材は基本的には「非楽音的」なのです。
てなわけで,多少の好き嫌い,世の中でのウケ具合はさておいて「現代音楽」風,ハヤリの言い方なら「音響系」とか「ノイズ系」という作風にしましょう。A^^;

ただし,闇雲に音を並べてもなかなか音楽らしくなりません。しかし,少しツボを押さえれば,たとえラジオの音と言えど「音楽的」な要素は加味できます。

  • データ通信の受信音やチューニング操作などでの反復音で作るリズム感やテンポ
  • 適当な時間配分で音を変化させる
  • 音量の調節での高揚感や沈静化などの効果 etc
これを裏返して
  • 音を細切れにした不規則なリズム感
  • 変化のないミニマルな音を延々流す
  • 突然でかい音を出したり無意味に沈黙を入れる etc

なんてことをすると,いかにも「現代音楽」っぽくなります。^^;
ここいらのさじ加減は,お好みでどうぞ。

ワタシ的には,「非楽音」的なラジオの音に,前者のような「音楽的」な構成方法をとると,ほどよい物ができるのではという方針でいきます。(なんて安直な^^;)


ラジオいっちょで「作曲」「演奏」A^^;

用意する物は,「音楽制作」と思って凝るとキリがないのですが,今回はラジオと録音機器だけでやります。

Victor PC-W330 + Sony ICF-SW10

今回の「音楽制作」の使用機器

上:ラジカセ Victor PC-W330 下:短波ラジオ Sony ICF-SW10

短波ラジオ

「音楽」に使うラジオですが,こちらはリスニングの場合とは逆に,基本的に「アナログチューニング」の機種をオススメします。

アナログチューニングの機種は,チューニング操作をしたときに,音が連続的に滑らかに変化します。いかにもラジオらしいイメージの音です。

いわゆるデジタル選局(PLLチューニング)の機種は,5kHz,1kHz,よくて0.1kHz単位で周波数を変えるため,チューニング操作をすると「ポツポツポツ....」と音が飛び飛びに変化します。少なくとも,ダイヤルを回すイメージの音としては,使いにくいです。

というわけで,ここではソニーICF-SW10を使います。

録音機器

「音楽」なら,マルチトラックレコーダー(MTR)で,同時に複数の音を重ねたり引っ込めたりの操作ができるのが理想です。が,今回はあえてありあわせのものを使います。

ここで選んだのは,この20年使い続けているラジカセ(Victor PC-W330)です。

なぜ今時カセット?というのも,PCやMDなどの機器は,ラジオにとっては雑音を出すメカだからです(別項参照)。まして同じ室内でお互いを接続するのですから,注意を要します。(もちろん,外部アンテナを設置して,同軸ケーブルで受信機に接続しているなら,話は別です。)

もちろん,いったんテープに入れてしまえば,後はPCやMDに取り込んで編集することもできます。

曲構成

ドシロウトの私には,さして難しいこともできないので,こんなポリシーで作業することにしました。

  • 1パート数秒で音を作って組み合わせる
    私のようなドシロウトでも,10秒なら芸がもつ,ということであります。A^^;
  • 急−緩−急の3楽章で
    構成を考えることでメリハリも出るし,いかにも考えて作ったような感じになるところもミソでしょうか。(^^;)
    曲が長くなるなら,クラシックの世界で言うところの「楽式」の考え方も参考になります。

  • 素材の音は加工しない
    素材の音だけで十分にシンセティックな音ですので,ラヂヲの音を素で味わっていただきます。^^;
    よって,今回は音のオーバーラップ,エフェクターでの変調etcの操作もなしです。

ついに完成!ってヲイ^^;

短波ラジオで,いろいろなものが聞こえやすくなるのは,やはり夜です。
創作にあたって,夜,とくに深夜のムードは,ちょっとした狂気もしみ入ってくるような気もいたします。^^;

基本的に,おもしろそうだと思ったものはとりあえず録音していきます。素材は,それぞれ30秒〜1分程度もあれば十分でしょう。
てなわけで,材料が集まったところで,あれ捨ててこれ残して,とがんばってできてしまいました,42秒の作品。A^^;
わけわかなものを聞かされる側の立場で,手短にしておくのも親切かと。A^^;

  • 第1楽章 (0'00"〜0'10")
    つかみの第一声に何を使うか迷いましたが,ここはいかにもラジオらしいチューニング音を10秒間示してみました。これだけでも,様々な音響の可能性が感じられると思います。途中,5秒目から約2秒間,思わせぶりな沈黙を入れてアクセントにしてます^^;。
  • 第2楽章 (0'10"〜0'23")
    緩徐楽章にあたるこのパートは,まず何も音の乗っていない電波の音を10秒間。短波での「フェージング」やノイズ,さらにチューニングをずらしたときの音の変化が,いい味になっていると思います。
    さらに,強い放送をチューニングをずらして音を歪ませたものを3秒。けっこうストレンジな音響です。
  • 第3楽章 (0'23"〜0'43")
    フィナーレは,10秒間の騒々しい「妨害電波」のトーンから。チューニングつまみを少しずつ回して電波に近づけていき,トーンの変化を出しています。
    その後,短波で拾った様々な言語のごく短い断片をつなげたパートを「カデンツァ」のように7秒ほど入れました。
    その後,強い電波の混信音を3秒入れ,最後の最後に一瞬,冒頭同様のチューニング音を,再度示すかのように入れてシメにしました。
ごた作「短波ラジオのエチュード」(43秒/MP3/210kB)

....もうしわけありませんっ,ノーガキたれた割には,たいした物はできませんでしたっ。
<(_ _;)> あやまってどうするヾ^^;>自分

ゲロゲロ,と言われたら「これも表現である」と高圧的に主張する手もありますが^^;,気の弱いごたさんはそこまではできません。

それはともかく,短波ラジオにあふれる多様な音,そして時にはこのうえなく美しい一瞬もあることを知っていただければ,作者的には幸いです。
どうか皆さんで,もっと素晴らしいラジオの音楽を作っていただければと思います。そして,これがラジオで作る交響曲への第一歩です。A^^;


[追記]

「短波ラジオのエチュード」が,podキャスティングの「リッチーsho!!」さんのオープニングテーマに採用されました!
http://www.voiceblog.jp/ritchie-sho/
デキの悪いこの子ですが,生きる道はあるものと,生みの親としてはありがたい限りです。(^^;)

この「リッチーsho!!」さん,居酒屋で居合わせたおっさん達のみょーにおもしろい話に聴き入る感じで楽しめます。^^;

(2006/09/22)

[追記2]

このページを出した1周年記念で,サンプル曲の追加です。(^^;)

ごた作「JMHのエチュード」(2分6秒/MP3/615kB)

"JMH"とは,短波で行われている日本の船舶向け気象FAX放送のことです。
普通の短波ラジオで受信すると「コロコロコロ」といった感じのリズミカルな音になります。この信号から,気象図などの画像を再生するようになっています。

この信号には,伝送方式として"120rpm",つまり音楽的に1分間120拍のシークエンスがあります。そこで,このシークエンスにあわせてドラムを叩いてみました(途中,ちょっとトチってますが^^;A)。ただそれだけですが,案外楽しいかなと。(^^;)
JMHの受信音は,普通の短波ラジオでの受信音と,通信機型受信機の"SSB"モードで受信したものをミックスしています。最初の「ボーッ」という音は,開始・終了時に出る信号です。

[参考]
(2007/05/01)

[追記3]

思いつきで,「JMH」で1曲仕上げました。
とは言っても,シロウトゆえ,ラフなサウンドには違いありません。

「JMHのエチュード」と違うパターンのドラムに,ストリングシンセも加えています。
覚悟のうえ,お楽しみになれる方はどうぞ。(^^;)

JMHの信号音だけで歌っている,さらにはソウルを感じるのは,私だけでしょうか。(^^;)
なので,私が付け加えた音は,最小限の音数,音量です。

ごた作「JMH Sings Love Song」(7分56秒/WMA/48kbps/2,850kB)
(2010/03/21)

[追記4]

[追記3]から10年以上が経ちましたが,結局まともなものは作れませんでした。(T T)
サイト開設20周年の一環で,試行錯誤の残骸を晒すことにします。^^;
タイトル,解説等はあえてつけません。

JMH.zip(20.8MB / 音声形式:WMA 64kbps)
(Google Driveからダウンロードします。)
(2021/12/06)


(c) 2006-2021 gota

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