片手にラヂヲ♪ ホーム短波ラヂヲの世界へのお誘い「楽器」としてのラジオ?!Pierre Schaeffer

「楽器」としてのラジオ?!

Pierre Schaeffer (1910〜1995)

"L'oiseau - RAI"

(1950, 3分)

RAIの鳥の唄

テープを使って,楽器以外の物音も使って音楽を作る,
ミュージック・コンクレート musique concrete(具体音楽と訳される)という分野もあり,慎重に音を選んで構成する方法がとられます。元祖サンプリングといったところでしょうか。

この分野の創始者,フランスのPierre Schaeffer「鳥−RAI」"L'oiseau - RAI"という,そのものずばりRAI(イタリア放送協会)のISの鳥の声を加工して,短い音のパターンを繰り返したり,再生速度を変えたりして作った音楽があります。まるっきり愛らしい別の鳥の声になっていて,一聴してRAIのIS(かなり古くからあったようですね)とはわかりません。

それにしても,当時は海外放送というメディアが,こうして採りあげられるほど,身近なものだったということでしょうか。

Schaefferは,もとは放送局の録音技師で,そうした技術に関わっているうちに,物音をテープの上で組み合わせた音楽を発想したようです。

ちなみに,最初の作品は,「鉄道のエチュード」"Etude aux chemin de fer"(1948, 3分)で,鉄道の走行音をリズミカルに組み合わせた作品でした。
当時は,テープレコーダーはなかったため,レコードカッターと呼ばれる機械で,SPと同じような音盤に直接音を刻んで録音していました。そのため,現在聞けるCDでもスクラッチノイズが聞こえます。

ちなみに,彼との共同作業で知られるPierre Henry(1929〜)という人もいて,彼も同傾向の音楽を進め,最近ではコンピューターにも手を染めています。
彼の初期の作品「無題の音楽」"Musique sans Title"(1950)でも,モールス信号,「ピロピロピロ」というラジオテレタイプの受信音らしき音を使っています。

そして,最近「テクノ」の流行にともなって,Schaeffer, Henryともにミュージシャンやファンの間でも評価が進んでいて,Henryの音楽をリミックスした盤(そんなことしなくても,もともとそういう音楽なんだけど^^;)なんて企画ものも出ています。


[参考CD]

  • Pierre Schaeffer "L'oeuvre Musicale"
    (フランス盤CD Musidisc 292572/3枚組)
  • "L'oiseau - RAI","Etude aux chemin de fer"ともに,この盤で聞けます。
    以前,同じタイトルで,これにSchaefferの講演の録音のCDが1枚多く収録されていたものも出ていました。(INA-GRM INA C 1006-9)
  • Pierre Henry "Des Anees 50"
    (フランス盤CD MANTRA 32/3枚組)
  • "Musique sans Title"はこちらで。

(c) 2001 gota

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