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短波ラジオに限らなければ,アメリカの作曲家,John Cageも現代音楽で積極的にラジオを導入した一人です。 Cage作品でのラジオの使い方は,ごくごくランダムにしか聞こえない音の出し方に特徴があります。 "Radio Music"では最大8台のラジオを6分,"Imaginary Landscapes No.4"に至っては,12台のラジオを鳴らすわけで,とにかく騒々しいです。 それにしても,コンセプト一つで,そんじょそこらのラジオの音がストレンジな音楽になるのはちょっとオドロキで,こんなことを言うのもなんですが,一発芸っぽさも感じます。^^; Cage作品でのラジオの役割は,音楽から作曲者の意図を排除するという作曲者の思想実現の一手段と言えます。 つまり,"Imaginary...."でのラジオの使用の眼目は,結果得られる音響以上に,偶然得られる音イベントを実現するインストゥルメント(「楽器」と言っても「道具」と言ってもいいかもしれません^^;)だったわけです。 ラジオの音を使っていることでは,Stockhausen(別項参照)作品にも,似た響きを感じなくもありません。 さらにその後のCage作品では,演奏する楽器,演奏時間さえ不特定のもの,実践上は読み取り困難な「図形楽譜」を多用するなどの特徴が現れます。(ちなみに,"Changes"と"Imaginary"は,意外にも伝統的な五線譜上に記譜されています。)そしてついには,有名な「4分33秒」"4'33"(1952)という「音のない」音楽の作曲(?)にまで至ります。 そのような流れの中で選択されるインストゥルメントは,ラジオに限ったものではなくなってきます。 かくてそんなになっちまった(^^;)音楽ですが,流れを見ると突然変異ではなさそうで,初期作品からもその芽を見てとることができます。 「架空の風景第1番」"Imaginary Landscape No.1"(1939)では,打楽器群ととともに周波数テストレコードを回転数を変化させながら再生(元祖スクラッチだ)したり,「バッカナーレ」"Bacchanale"(1940)では,ピアノの弦にねじ釘やゴムなどの物体を挟み音を変化させる「プリペアド・ピアノ」prepared pianoを開発しています。 [参考CD]
"Radio Music"を収録。解説によると,1974年4月5日22:30〜22:50の間,ミラノのスタジオで3名の奏者で録音されています。
さらに,使われたラジオについても情報があり,"National Panasonic VHF/Aircraft/FM/AM/MB/SW Multiband portable RF-1600B Radio Model"を使用とあります。 Cage作品の録音で,ラジオ使用のものは多数ありますが,これほど短波の音が聞こえるものは珍しいかもしれません。 "Radio Music"には,4つのセクションがあるらしいのですが,この演奏では無音部分などの区切りは感じられません。 ("Radio Music"の他,かの"4'33"も収録されています。^^;) [参考サイト]
(全面改訂:2005/07/27)
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