片手にラヂヲ♪ ホーム短波ラヂヲの世界へのお誘い「楽器」としてのラジオ?!Greg Utech "Shortwave"

作成日:2010/12/14

「楽器」としてのラジオ?!

Greg Utech
"Shortwave" (2001)


  • Soundbite Records (CD-R)
  • 1.Intro / 2.The Scan / 3.Static Waves / 4.Mega Hurts / 5.Fine Tune / 6. Reprieve
  • Phil Kelly : Keyboards, microcassett / Rick Matle : Guitar, Bass / Jerry Laster : Upright Bass / Greg Utech : Drums and other oddities...

久々に発見した,短波ラジオを使った上玉のアルバムです。
これは2001年の作品ですが,最近"cdbaby"で発見しました。

短波の音を使った音楽は,だいたいテクノ,エレクトロニカ系が多いのですが,これは珍しくジャズっぽさ漂う作品。実際,そんな音楽に短波が絡む様は,なかなかかっこいいです。

Greg Utechは,30年以上のキャリアのあるミュージシャン。デトロイトでドラムを中心にプレイし,演劇の音楽やジャズトリオなどの活動があるとのことです。アルバムとしては,本作がファーストで,本作含め3作ほどがリリースされています。

それにしても,短波の音を使った動機がイカしてます。"Album Notes"によれば,「短波ラジオをゴミ箱から拾って,電源を入れたら動いた」からだそうで。
筆者は,数多くの短波を使った音楽や,それにまつわるエピソードも聞きましたが,ゴミ箱から拾ったというのは前にも後にもこれくらいです。(^^;)

本作の短波の音は,やや過剰気味に響いています。
ラストの6曲目を除いて,曲中全体にべったりと入っている感じです。使い過ぎ感もなくはないのですが^^;,短波の音がなかなかシゲキ的ともいえます。
短波の音の絡ませ方はごく感覚的で,コンセプチュアルな存在というわけではなさそうです。そういう意味では,あくまで主役はジャジーな音楽です。"短波"というアイデアに引きずられることなく,曲がしっかりできているので,聞き応え十分です。

1曲目は,背景にストリングシンセをともなったラジオの音から。後半にドイツ語の女性アナの音声がフィーチャー(?)されています。そしてそのまま流れ込む2曲目は,ツカミのアップテンポの曲。ジャジーなドラムにエレキギター,それに短波の音が気持よく絡んでいます。さすがドラマー,リズムのキレがいいです。
ラジオの音には,よく聴くと日本語らしい音声も聞こえます。中東のコーランや民族音楽っぽいラジオの音は,Holger Czukay作品も思い起こさせますが。
3曲目は,ハーモニカをフィーチャーしたスローな曲。こういう曲での,楽音の合間の短波のノイズは,なかなか味わいがあります。
4曲目は,フリーキーなピアノを中心に,アップテンポのドラム,ストリングシンセなどの音が絡みます。ここでのラジオの音は,ダイヤルを早めに回している音が中心。
5曲目は,タイトル通り,ゆっくりとダイヤルを回すラジオのチューニング音が中心。その上に,ミッドテンポのパーカッション,エレキギターの音などが絡みます。ラジオの音には後半,標準電波(WWV?)の音も聞こえます。
6曲目のみラジオの音はなく,ピアノとハーモニカの掛け合いです。ノイジーなラジオの音が続いた後のシメとしては正解です。

とにかく聴いていて楽しいです。
ゴミ箱から拾い上げた短波の音^^;を発見した素朴な喜びを,短波の受信機を前に驚喜しているような表情の男性が描かれたジャケ画が象徴しているようです。


[参考サイト]
(2010/12/14)


(c) 2010 gota

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