片手にラヂヲ♪ ホーム > 短波ラヂヲの世界へのお誘い > 「楽器」としてのラジオ?! > Jon Appleton |
[収録CD]
John Appleton "Contes de la memoire"
(カナダ盤CD empreitentes DIGITALes IMED 9635)
この作品は,当時,ソ連から西側に亡命した作家,Anatoly Kuznetsov(1929-1979)に捧げられ,「モスクワ放送」Radio Moscow (現「ロシアの声」Voice of Russia)英語放送の受信音が主な音源となっています。(「BCL」の皆さんになじみやすそうな?作例でしょうか。^^;) 作品は,冒頭から「モスクワ放送」のIS「祖国の歌」のチャイム音が流れます。続いて,"Good Evening, Everybody!"と男性アナの堅い声,周波数のアナウンスも聞き取れ,当時の放送がしのばれます。周波数アナウンスの途中,音はKuznetsovの亡命を伝えるニュースになり,作品制作の動機がここで示されます。 それに続いて,Kuznetsov本人・トルストイ・スターリンの声,ロシア民謡などの音源が変形され,電子音とミックスされたりしていきます。 そして,3分30秒あたりで再びKuznetsov亡命のニュースが流れ,ドアを閉じるような音,電子音,変調されたロシア民謡が静かに流れ,最後は電子音のシークエンス(何かの音を変調した音?)で作品は終わります。 全体を聞きとおすと,この作品がきわめて「物語的」だということがわかります。他のAppletonの作品も,多かれ少なかれ「物語」を感じさせられるものは多いです。この作品での「モスクワ放送」は,その物語のアウトラインを押さえる役割のようです。 また,Appletonはロシアとの交流もあるようで(彼のルーツ絡みもあるようだ),こうしたロシア絡みの作品は他にもあり,"Dima Dobralsa Damoy"(1993,7分)という,民族音楽をネタにした曲もあります。 余談ですが,他の作品でのAppletonは,むしろユーモアのセンスを感じられるものが少なくありません。 [参考サイト]
* 作品で採り上げられているAnatoly Kuznetsovについては,1929年8月18日ウクライナ・キエフ生,1979年6月13日ロンドン没,作品に"Babi Yar : a documentary novel" (translated by Jacob Guralsky, Dial Press, 1967)という程度の情報があります。 |
片手にラヂヲ♪ ホーム > 短波ラヂヲの世界へのお誘い > 「楽器」としてのラジオ?! > Jon Appleton |