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1.Zincite Trance /2.鉱石ラジオ/3.Satellite Song/4.エウロパの氷/5.きれいな感情 /6.How about u/7.赤い砂 白い花(marrakech mix)/08.Trance Transistor Table
Radio/9.案内マウス/10.Welcome to Riskcaution Corporation/11.チェコの夢〜Fall
(ビクターエンタテイメント VICL-60721) 個人的にもお気に入りの1枚で,「小ネタ」からついに1ページの特集に格上げです。(^^) 新居昭乃さん("さん"付けでないと,しっくりこないキャラを感じる人ですね^^;)は,1986年にデビューしたシンガーソングライター。 「鉱石ラジオ」は,新居昭乃さん的には異色の"トータルアルバム"です。ここで「ラジオ」をテーマに選んだ動機は,長い間受け持っているラジオ番組にあったようで,サウンドにもその番組のテーマ曲が取り込まれています。 「異色」とは言ったものの,前作「降るプラチナ」(2000)にも,宇宙に行ったライカ犬と去っていく恋人を重ねた歌詞を持った「スプートニク」という一曲があります。 "科学"に向けられた視線ということでは,その芽はあったと言えそうです。 「鉱石ラジオ」では,表題曲のほか「Trance Transister Table Radio」,「Satellite Song」,「エウロパの氷」など,ちょっと科学チックなタイトルの曲が並んでいて,ラジオファンとしてもなかなかそそられます。(^^) 本作の制作経緯や,曲などについてのコメントは,公式サイトに詳しいのでそちらをご覧いただくとして,ここではラヂヲ的に注目曲だけ,コメントを手がかりに簡単に記します。 1曲目,アルバム全体の1分半ほどのイントロになっている「Zincite Trance」は,「ポータブルラジオのノイズをコンピューターに取り込んで加工」した音,さらにラジオのチューニングをイメージしたように音が出ては消えていく効果を使っています。 続く2曲目,オルガン,ハープシコードの音に導かれて,タイトル曲「鉱石ラジオ」が始まります。オルガンの音主体の溌剌とした曲で,ひねった電子音の類はさほど聞こえません。 8曲目「Trance Transister Table Radio」は,キーボード主体で音数少なめの穏やかな曲。アコーディオンの音が,ひなたぼっこでもしているような,夢見心地を誘ういい味を出しています。 9曲目「案内マウス」は,20秒ほどの次の曲へのブリッジですが,最もラジオっぽいサウンドを持った曲。"Are you ready?"という声の後,チューニング音のようなイメージが流れます。 ラスト11曲目「チェコの夢〜Fall」は,7分20秒とアルバム中最も長く,歌詞もないフリーフォームなテクノ的展開の曲。「自分の内側に向かって唄った感じが、チェコのアニメーションから受ける印象と似ていた」と言います。 かようなテーマの作品を作り上げたものの,新居昭乃さん自身はメカ音痴らしく「機械に強い人は尊敬すべき存在」だと言い,タイトル曲も「男の子が,急にすごい人に見えてしまった瞬間」を歌ったのだとか。 そこで,本作の科学チックでクールな部分をおさえているのは,アルバムの大部分で作曲・編曲を手がけているプロデューサー・保刈久明氏のようです。公式サイトのコメントを見ても,コンセプトを形にするうえで,氏が重要な役割を負っているのがわかります。(本作では,氏のクレジットの担当楽器に"radio"があります。) というわけで,ラジオにはまった私とはまったく違った,科学技術に発するイマジネーションの使い方,展開の方向を示しています。 ちなみに,このCDの存在を知ったのは,音楽雑誌でもアニメ雑誌でもなく,「子供の科学」(誠文堂新光社),2001年8月号p.131でございました....。 (2001/12/15,全面改訂 2004/12/22,一部改訂 12/23)
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