片手にラヂヲ♪ ホーム短波ラヂヲの世界へのお誘い激安短波ラジオをなでまわす 2013^^;A

作成日:2013/04/19

特別企画

激安短波ラジオ
なでまわす
2013^^;A

「激安短波ラジオ」は変わったか?!

本サイトで,ホームセンターやディスカウントストアなどで2,000〜3,000円で入手できる「激安中華短波ラジオ」をレビューした記事を出したのは,もう10年も前,2002年2004年でした。
しかし,これらの記事にはいまだにアクセスがあり,リスナーには身近な存在だということがうかがえます。

その10年間に短波ラジオを取り巻く状況は,だいぶ変わってきました。
日本国内の大手メーカーは,ソニー以外はほとんど短波ラジオから撤退,代わりにコストパフォーマンスが良く,かつ動作も安定した「中華短波ラジオ」がネット通販を中心に出回るようになりました。
もはや,日本製のラジオは不要ではないかと思えるほどです。

一方,2,000〜3,000円のラジオも,相変わらずディスカウントストアやホームセンターの一角に不動の座を占めています。(^^;)
そこで,2000年代初めの記事から10年後の「激安中華短波ラジオ」はどう変わったか,再度探ってみようと思います。

おことわり

この記事は,あくまでこの種のラジオを使うための参考データです。
また,ラジオ個々の機体,住んでいる地域,ラジオを置いてある場所,受信する時間,季節などの環境によってかなり違った結果が出てくることがあると思います。
その点お含みおきください。

[今回試す機種]

今回も実売価格2,000円台の機種,「ELPA(朝日電器)」が販売している,周波数アナログ表示の「ER-20T-N」(2,000円前後),周波数デジタル表示の「ER-21T-N」(2,500円前後)です。

ちなみに正体は,いずれも中華ラジオではおなじみのメーカーの一つ「REDSUN」(東信電器)製品で,ER-20T-Nは「RD1201」,ER-21T-Nは「RD1202」がオリジナルの型番です。

<ER-20T-N>
ER-20T-N外観
  • 受信周波数
    • SW1〜10(短波):3.9〜21.85MHz
      • パネル上の周波数表示
        SW1(75m):3.70-4.35 / SW2(60m):4.60-5.25 / SW3(49m):5.75-6.50 / SW4(41m):6.95-7.45 / SW5(31m):9.00-10.40 / SW6(25m):11.20-12.30 / SW7(21m):13.25-14.45 / SW8(19m):14.80-16.10 / SW9(16m):17.05-18.50 / SW10(13m):21.40-22.95
    • AM(中波):525〜1610kHz
    • FM:76〜108MHz
  • 電源 DC3V(単三電池×2)
  • 外形寸法 122×75×29o
<ER-21T-N>
ER-21T-N外観
  • 受信周波数
    • SW1〜10:3.9〜21.85MHz
      • 筆者所持機の表示周波数
        SW1:3.59-4.28 / SW2:4.44-5.29 / SW3:5.71-6.595 / SW4:6.77-7.645 / SW5:8.935-10.68 / SW6:11.25-12.715 / SW7:12.81-14.315 / SW8:14.62-16.495 / SW9:16.815-18.91 / SW10:21.47-22.845
    • AM:525〜1610kHz
      • 所持機の表示周波数:516-1659
    • FM:76〜108MHz
      • 所持機の表示周波数:75.5-109.15
  • 電源 DC3V(単三電池×2)
  • 外形寸法 122×75×29o

第一印象

筐体の大きさは2機種とも全く同じ,カセットよりは大きく文庫本より一回り小さいサイズです。
かさばらずポケットにも入るし,持ち歩きにも良い感じです。
ルックスは,前面の右半分が違うだけで,いかにも同じ製造元の兄弟分という感じもします。(^^;)

いずれも筐体の質感,ボタン・ツマミ類の手触りも良く,値段の割にしっかりしていて,10年前の同じ値段の機種に比して格段に質が向上しています。

さらに,周波数デジタル表示のER-21T-Nは「時刻表示」「アラーム」「おやすみタイマー」「バックライト」「ホールドスイッチ」付きで,この値段でここまでやるかと,ちょっと感動したり。(^^;)

激安中華ラジオでは,短波の受信周波数が6MHz帯からというものが多いのですが,この2機種は3.9MHz帯から受信できます。
「ラジオNIKKEI」を聞く場合,とくに冬場の夜間に6MHzや9MHzの受信状態が良くない場合が多いので,この3.9MHz帯が受信できるかは,案外重要なポイントです。

最初にスイッチを入れた印象ですが,いずれもしっかりと音が出るし,感度も良さげです。
以前の中華ラジオは,ここで音が出るかさえ心配だったものでしたが。(^^;)

ただ,いずれもチューニングツマミの動きがやや堅く,操作の微妙なところでツマミから手を離すとちょっと周波数がずれる「バックラッシュ」もあるのが気になります。
あと,受信中に周波数が少しずつずれてくる不安定さも感じられます。

音質ですが,いずれも音は堅め,ノイズがちょっと耳に刺さる感じもしますが,強い電波を受けている分には問題ありません。

さて問題は,肝心な聞きたい放送がきちんと聞こえるかです。
その実力やいかに。


[実験日時・場所]

  • 2013年4月中旬の夜間
  • 東京都内 筆者「ごた」邸 (木造モルタル造2階四畳半の部屋 ^^;)
    比較的電波が通りやすい木造の建物の室内です。
    って,10年前と変わってなかったりするわぁ…。^^;

[実験結果]

  • ER-20T-N,ER-21T-Nともに付属アンテナのみ使用
  • 主に比較的受信しやすい,夜の日本向け日本語放送を受信(時間・周波数は2013年4月現在)
  • 「受信状態」欄:受信状態の良い順に ☆☆☆〜☆〜×(受信不能) ※評価はあくまで主観です
時間 放送局 周波数
(kHz)
ER-20T-N ER-21T-N
夜7時台 朝鮮の声
621
× ×
6070 ☆☆ ☆☆☆
9650 ☆☆☆ ☆☆☆
11865 ☆☆☆ ☆☆☆
中国国際放送
11620 ☆☆☆ ☆☆☆
KBSワールドラジオ 9805 ☆☆☆ ☆☆☆
アルゼンチン海外向け放送
6060 × ×
15345 × ×
モンゴルの声 12085 ×
夜8時台 KBSワールドラジオ 1170 ☆☆☆ ×
ベトナムの声
9840 ☆☆ ☆☆
12020 ☆☆☆ ☆☆
台湾国際放送 9735 ☆☆☆ ☆☆☆
朝鮮の声 621 ×
6070 ☆☆
9650 ☆☆☆ ☆☆☆
11865 ☆☆☆ ☆☆☆
中国国際放送 1044 ☆☆
11620 ☆☆☆ ☆☆☆
夜9時台 KBSワールドラジオ 1170 ☆☆☆
HLAZ(FEBC) 1566 ☆☆☆ ☆☆☆
ベトナムの声 9840 ☆☆ ☆☆
12020 ☆☆ ☆☆☆
朝鮮の声 621 ×
6070 ☆☆ ☆☆
9650 ☆☆☆ ☆☆☆
11865 ☆☆☆ ☆☆☆
中国国際放送 1044 ☆☆☆ ☆☆
11620 ☆☆☆ ☆☆☆
インドネシアの声 9525 × ×
ロシアの声
720 ☆☆ ☆☆
7235 ☆☆ ☆☆
夜10時台 ラジオ・タイランド 9795 ☆☆☆ ☆☆☆
中国国際放送 1044 ☆☆☆ ☆☆
7325 ☆☆☆ ☆☆☆
台湾国際放送 9735 ☆☆☆ ☆☆☆
イラン・イスラム共和国放送 13630
15555 ☆☆

[所感]

<ER-20T-N>

全般に感度の良さはあって,この値段のラジオとしては合格点です。
ただし,筆者所持の機体は7MHz帯の感度だけが妙に落ち込んでいます。

この種のラジオにありがちですが,周波数表示と実際の受信周波数のずれが甚だしく,慣れた人でないと扱いにくそうです。
また,短波で強い電波があると,その周波数の前後にイメージ(本来の周波数以外の所で聞こえる現象,いわゆる「おばけ電波」)も目立つので,選局の際惑わされます。

オレンジ色のマークで表示するER-20T-Nのバンド切替
<ER-20T-Nのバンド切替表示>

わかりやすい選択バンド表示。こういう細かい芸が激安中華ラジオでも。(^^;)

<ER-21T-N>

短波はER-20T-Nより,少し感度が良く感じられます。
周波数を読める分,電波が弱くても探し当てられることもありそうです。

ただし,中波の感度があまり良くありません。
中波では強い地元局があると,前後の広い範囲で弱い電波が埋もれる感じです。
(中波の感度にこだわらなければ,値段も大して違わないことですし,こちらの方がオススメですが…。)

周波数はデジタル表示ですが,上級機にある周波数をぴったり固定する「PLL」回路ではなく,アナログのラジオに周波数カウンターが付いただけのものです。
短波の周波数表示は5kHzごとなので,周波数をぴったり合わせるには,表示された数字より耳を頼りにした方がやりやすいです。

「3.925MHz」のER-21T-Nの液晶の周波数表示。上に"TUNE"表示
<ER-21T-Nの周波数表示>

チューニングは連続的ですが,短波の周波数表示は5kHzごと。"TUNE"表示はベンリ。

[結論]

「激安中華ラジオ」とは言え,以前のものに比べると格段に落ち着いた動作をしています。
以前試した機種では,日本向け日本語放送でも受信できないものがありましたが,今回はほぼ受信できています。
地元のAM/FMはもちろん,短波でもラジオNIKKEIや電波の強い日本語局を聴く分には,十分普段使いできます。

今回は,木造家屋の室内で付属ロッドアンテナだけで受信しましたが,2〜3mのアンテナ線を付け足して使えば,もう少し感度が稼げます。(参考ページ)

しかし,「アルゼンチン海外向け放送」のような弱い電波を探る用途には,さすがに向いていません。(^^;)
感度も足りませんし,混信に対する弱さもあります。
中波・短波受信を趣味にするなら,さらに上のグレードのラジオが必要でしょう。

ただし,コストパフォーマンスの良さは認められます。
暇な時の手慰み^^;にも良いですし,機能がほどほどなかわり電池はかなり持つ(ER-20T-N:100〜300時間 / ER-21T-N:80〜250時間)ので,非常用のラジオとしてもうってつけです。

…さて,さらに10年後,「激安短波ラジオ」はどうなっているでしょうか。(^^)


(c) 2013 gota

片手にラヂヲ♪ ホーム短波ラヂヲの世界へのお誘い激安短波ラジオをなでまわす 2013^^;A
inserted by FC2 system